メディカルアフェアーズ情報
メディカルアフェアーズの最新情報を更新していきます。
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コラム
MAアカデミーは社会的貢献を果たす
コラム2022.12.08 (Thu)2022.12.08 (Thu)MAアカデミーは社会的貢献を果たす
他のコラムでもご紹介してきた通り、メディカルアフェアーズにおいては、かねてより、高度なサイエンス知識とコミュニケーション力を兼ね備えた人材が求められてきました。 今でこそ、こういった専門的知識やスキルを学ぶ場は多少整備されつつありますが、2010年代後半までは全くと言っていいほどありませんでした。また、各製薬企業内においてもMA・MSL人材を育成するリソースやノウハウの不足が大きな課題となっていました。 そこで、「MA・MSL活動における必要な知識を基礎から体系的に学ぶことができ、実践力を身に着けられるプログラムを提供しよう」、そして「メディカル分野の第一線で活躍する人材を輩出しよう」と決意し、開講したのが「MAアカデミー スペシャリストコース」です。 MAで活躍できる人材となっていただくためには、上記で述べた通り、メディカルとして押さえるべきポイントを抜け漏れなく体系立てて学んでいただかなければなりません。私たちが製薬企業に対して実施してきたコンサルティングやMSL研修のナレッジを最大限に活用し、さらに外部研究機関や大学の先生にも協力いただきながら、プログラム内容を充実化させることにしました。そして、プログラムの提供方法にも拘りました。効果的かつ効率的に知識定着ができるよう、自己学習が可能なインプットにはe-ラーニングを活用し、対面型のライブ研修においてはアウトプット実習を行う“ブレンデッドなプログラム構成”としました。加えて、継続的に人的交流・情報交換ができるようMAアカデミークラブというメンバーシップ制度も導入し、受講が完了したら終わりではなく、多様なネットワークが広がるようにしたのです。 このように開始されたのが「MAアカデミー スペシャリストコース」です。各製薬企業の導入・継続研修としての利用のみでなく、将来のキャリアとしてMA・MSLを視野に入れている方・医療機器メーカーやその他ヘルスケア関連企業に勤めている方・アカデミアの方など、様々なバックグラウンドの方に受講いただいております。これまでMAアカデミーで学ばれた500名以上(2022年11月現在)の受講者が、取得した知識やスキルを活かし、様々なフィールドで活躍しています。 -
コラム
患者サポートプログラム(Patient Support Program)とは
コラム2022.11.21 (Mon)2022.11.21 (Mon)患者サポートプログラム(Patient Support Program)とは
近年の環境変化の中で、各製薬会社は「Patient Centricity」の活動を活発化しています。どの部署に所属していても、「Patient Centricity」を基に、様々な戦略・施策が検討され、常に患者さんを中心に議論されることが求められています。 そのような流れから、直接、患者さんをサポートする様々なプログラムが提供されてきています。当社においても、コンサルティングを行う中やMAアカデミーの講義の中で「患者サポートプログラムとは具体的に何をしたらいいのですか?」「患者サポートプログラムの効果検証が難しいのですが」「○○を行ったけれど、患者さんからの評価はあまりよくなかったのですが」と言った声を聴くことが増えてきました。 患者さんをサポートするプログラムは、Patient Support Program(PSP)と呼ばれますが、PSPには様々な形態があります。服用管理のアプリの普及もさかんですよね。これまで医療機関経由で入手していた各疾患・薬剤の資料「患者さん向け資材」を郵送してくれるサービス、SNSや電話を通じて直接話をするサポート、薬剤を個宅配送するサービス検討も増えてきています。 ではなぜPSPがさかんになってきたのでしょうか?これまで製薬企業は主に医療機関から患者さんの情報を入手していました。しかし医療機関側でも患者さんの状況を全て把握することは難しい状況です。患者さんも「何か対応してもらいたいほど困っていない」「忙しそうに仕事されているからあまり余計なことは言わないようにしよう」「我慢できるから受診は次回の予約まで待とう」と考えることは容易に想像できると思います。これらが結果として“医療のムダ”に繋がっている可能性があります。適切なタイミングで介入し、治療からの脱落を防ぎ、治療効果の最大化や医療資源の有効活用に繋げるためにPSPがさかんになったと考えられます。 当社では主に電話での会話を通してPSPを実施しています。“MSL(メディカルサイエンスリエゾン)の役割とその活動の重要性とは” でも紹介しているインサイト収集ですが、当社PSPでは患者さんのインサイトを収集しています。会話を通じて、何となく感じていたことを患者さん自身も認識するようになることも多々ありますが、このインサイト収集は本当に一筋縄ではいかないです。 次回以降、PSPを通じてどのような行動変容があったか等をご紹介していきたいと思います。 当社PSPに関してご相談やご質問等ございましたら、いつでもお気軽にご相談くださいませ。 お問い合わせ -
コラム
MSLはリモートで成り立つ?
コラム2022.10.03 (Mon)2022.10.03 (Mon)MSLはリモートで成り立つ?
2020年からの新型コロナウイルス感染症の拡大により、MSLによる医師とのリモート面談は急速に増加しました。当初はリモート面談に慣れていなかったり、システムの整備がなされていなかったことなどもあり、導入に否定的な医師もみられました。しかしながら現在では学会や会議などにも積極的に活用されたことで、多くの医師がリモート面談を実施するようになりました。 MSLとしてもアポイント取得時に移動時間を考慮する必要がなく、移動の労力と経費がかからないため、非常に簡便で有用な面談ツールと言えます。医師の許容度やニーズが高まったことからも、現在ではリモート面談は医師とのコミュニケーションの中心的な役割を担っています。 一方で、リモート面談にはいくつか注意が必要な点もあります。 一点目は、相手の表情や雰囲気が画面越しでは読み取りにくい点です。対面の面談ですと、その表情や素振りから医師の気づきや熱意を感じ取ることができますし、怪訝な表情から懸念を読み取ることもできます。しかしリモート面談では画面上でこれらの些細な変化をキャッチできないことがあり、結果として深いインサイトの収集の機会を逃してしまうことがあります。 二点目は、医師の面談環境が把握しにくいことです。MSLの医師との面談は担当疾患や担当製品についてのサイエンティフィックなディスカッションが中心であり、場合によっては未承認薬剤の情報や適応外処方に関する情報に至ることがあります。このような情報は医師から質問があった場合にのみ提供することになり、当然ながら不特定多数の医師に提供すべき情報ではありません。リモート面談は対面の面談とは異なり、医師がいる画面の向こう側の環境を正確に把握することや調整することのハードルが高くなります。仮に医師側が個室ではなく大部屋にいる場合にはディスカッションの内容が他の医師に聞こえてしまう可能性もありますし、他社の社員に聞こえてしまう可能性も否定できません。このような状況は製薬企業のメディカル活動において大きなリスクになり得るので細心の注意が必要です。 とは言え、医師がMSLとの面談の意義やルールを理解しており、適正な環境下であればリモート面談は大変有用なツールとなることは間違いありませんので、今後も積極的に活用されると考えられます。 -
コラム
MSLって出張多い?いつも何やってるの?
コラム2022.10.03 (Mon)2022.10.03 (Mon)MSLって出張多い?いつも何やってるの?
MSLの主たる業務は医師とのディスカッションを通じてインサイトを収集することです。収集されたインサイトはアンメットメディカルニーズの同定や、メディカル戦略の立案に大きな影響を与えるため、適切かつ質の高いインサイト収集が必要となります。 したがってMSLは担当疾患や担当製品に関連する論文・資料の検索や内容把握、クリニカルクエスチョンの設定などの事前準備を含めた、医師とのディスカッションにかかわる業務に多くの時間を費やすことになります。 新型コロナウイルス感染症の拡大以降、Webを通じたリモート形式の面談が増えてきましたが、医師が実際の診療や研究を行っている施設にMSLが直接赴き、顔を合わせて活発なディスカッションを交わすことは、より質の高いインサイトの収集に繋がります。面談対象となる医師は全国に存在しますので、面談のための出張の機会も当然多くなりますし、関連する国内外の学会に参加するために出張することもあります。出張先でゆっくり…というわけにはなかなかいきませんが、様々な医師や医療機関を肌で知ることに加え、全国各地の街の雰囲気を知ることができるのはMSLの醍醐味の一つかもしれません。 その他、製薬企業によってはMSLが臨床研究の立案や学会における疾患啓発セミナー、アドバイザリーボードミーティングなどのメディカルイベントをリードすることもあります。MSLは医師の診療や研究の情報を入手するための対外的な窓口となることに加え、メディカル活動に関わる多くのアクティビティに関与することができるため、メディカルアフェアーズの全体像を俯瞰的に把握することができる職種であると言えるのではないでしょうか。 -
コラム
MSLのコミュニケーションスキルとは
コラム2022.10.03 (Mon)2022.10.03 (Mon)MSLのコミュニケーションスキルとは
私たちは、製薬企業のMSLを対象にした面談研修を提供しています。その蓄積されたデータから、いくつか見えてきたものがありますので、ここで一部を述べたいと思います。 そもそも論で恐縮ですが、スキル云々の前に、「MSLは何のために医師と面談するのか?」という目的意識が最重要であると感じます。MSLは、営業とは異なり、「自社製品を処方してもらうこと」が目指すところではありません。メディカルアフェアーズの一員として「アンメットメディカルニーズの充足」を目指しており、そのために医師に情報提供したり、意見交換をしたりしているわけです。効果的なコミュニケーションのためには、まず、MSL自身が「アンメットメディカルニーズ」について深く思考しているかどうかが問われるでしょう。 少しスキルの話をすると、「ギブアンドテイクを意識する」ことが重要でしょう。これは、もちろん金銭的な話でも労務的な話でもありません。単にインタビューのように一方的に聴取しても、医師からすれば真剣に答えなければならない義務はないですので、当たり障りのない返答で済まされてしまう恐れがあります。このような面談が続くと、医師からすれば得られるものが無いので、MSLとの面談に躊躇するかもしれません。MSLの上級者は、「情報を与えながら、引き出している」と感じます。すなわち、医師が興味を持つように情報を提供し、その反応をみながら、話を深堀りして、医師の考えを収集しています。 態度に関しては、「丁寧すぎない」ことが重要かと思います。相手への敬意を表すことに一生懸命で、議論が展開していかないようであれば、ちゃんと議論したい医師にとっては不満が募るでしょう。専門家として、医師を知的に刺激する存在である必要があります。 -
コラム
MSL(メディカルサイエンスリエゾン)の役割とその活動の重要性とは
コラム2022.10.03 (Mon)2022.10.03 (Mon)MSL(メディカルサイエンスリエゾン)の役割とその活動の重要性とは
今回は、MSLの役割について書きたいと思います。 私たちは、MAアカデミーというメディカルアフェアーズに特化した教育プログラムを提供しております。そのプログラムの第一回のメディカルアフェアーズ(MA)概論の講義において、「MSLはMA部の中で具体的にどのような役割をしているのか?」という質問を受けることがあります。 その回答としては、大きく分けて下記の3つになります。 MA戦略プランの立案においてはThought Leader(TL)のファクト・インサイトが必要となる。そのファクト・インサイトを収集し、戦略立案チームに情報をフィードバックする MA戦略プランで決定されたアクティビティを実施する 当該疾患領域における医科学的情報を収集する メディカル戦略プランとは、MA部門が活動するためのいわば計画書であり、MAはこの戦略にしたがって活動しています。メディカル戦略プランは自社が同定したアンメットメディカルニーズ(UMN)の解決策が書かれ、具体的にどのような活動が実施されるのかが記載されています。「いつ、何を、どこで、だれが」ということが細かく記載されます。UMNは、顧客(医師及び患者)からのファクトやインサイト情報をもとに同定されます。これらファクトやインサイトをMSLが現場から収集するのです。 「では、MSLの業務は誰でもできそうですね?」ということを言う人がいますが、そんなに簡単ではありません。ファクトは事実に基づく情報ですので誰もが入手できる情報かもしれませんが、インサイトについては簡単にはいきません。インサイトとは人がなんとなく感じていることだけれどもうまく言葉にできないことを指します。下の図に示したように実は本音よりもさらに深い部分に存在するのです。このインサイトを収集するためには一筋縄ではいきません。MSLは当該疾患領域のオーソリティであるTLと直接話をしながらインサイトを収集しますが「話をしながら・・・」とは何も世間話ではありません。TLと疾患や様々なエビデンスの話題を中心に話をします。その中でインサイトを収集することになります。したがって、MSLは医科学的な知識や考え方を持っているだけでなく、非常に高いコミュニケーションスキル、人間関係構築力が必要とされるのです。 少し話を前に戻しますが、MA戦略プランはMSLが入手したファクトやインサイトをもとに立案されるわけですので、MA戦略プランの質は戦略担当者はもちろんですが、MSLが持ってきた情報に大きく左右されます。別の見方をすれば、MA戦略プランはMA部の活動の計画書でありながら、その戦略はMSL自身が決めているとも解釈できるのです。 このようにMSLがいかに重要な任務を担っているかがお分かりいただけたのではないかと思います。これからMSLを目指そうとされている方の参考になればと思います。 -
コラム
メディカルエデュケーションって何?
コラム2022.10.03 (Mon)2022.10.03 (Mon)メディカルエデュケーションって何?
国内外の製薬企業の中には、メディカルアフェアーズ部の中にメディカルエデュケーション(ME)というチームを設けている企業があります。私の記憶では国内では外資系製薬企業2社に存在していたと思います(2022年10月現在)。 もともと欧米では、医療従事者の継続教育のために、製薬企業がその一部分を支援することが大きな役割の一つであったと思われます。実際、私は海外で製薬企業のメディカルエデュケーションの活動を見たことがあるのですが、非常に幅広い活動をしていました。具体的には、現場で教育のニーズを探り、そのニーズに対して製薬企業としての強みが活かせるのであれば実際にマテリアルの作成から教育プログラムの企画・運営までしていました。また、教育プログラムの参加者に対してはNPS(Net Promoter Score)を含めた緻密なアンケートを取り、常にレベルの高い教育ができるように改善を重ね、活動の質の向上に努めていました。そのほか、学会のブースの設置や対応、デジタルコンテンツの作成なども行っていました。もちろん、コンテンツについては常に公平性を担保(エビデンスをもとに資料を作成する。意図的に自社製品の宣伝になるようなストーリーにしない。)していたと思います。 国内における製薬企業のMEについてはどうでしょうか。いわゆる内資系製薬企業にはこのような部門はまだ存在していないのではないかと思います。外資系企業においてはME部を設置し活動している企業があります。具体的には、メディカルマテリアルの作成、学会のブース企画・運営、アドバイザリーボードミーティングの企画、学会シンポジウムの企画などが主な業務となります。 MEを国内導入したころは、「私たちの業務は医師への教育です」という言葉を医師に対して使い、医師からは「製薬会社が私に何を教育してくれるんだい?」と叱られてしまうようなことがたびたびあったようです。そのほか、「活動の公平性を担保することに企業としてどのような意味があるのか?」などコマーシャル部門からはなかなか理解が得られにくいということもありました。このように、日本国内では海外のME部門の活動のようにスムーズに受け入れ難い環境でしたが、最近ではかなりその活動の意義が浸透してきたのではないかなと思います。 では、MEはメディカル戦略プランとは関係なく活動するのでしょうか?その答えは「No」です。製薬企業が新たに製品を市場に出す際には、実際のところ、医療従事者に対して様々な情報を提供しなくてはなりません。その情報とは主に製品情報です。メディカルアフェアーズにおいては、製品そのものの情報というよりはその疾患領域の情報がメインとなります。その疾患について医療従事者に正しく理解をしてもらうことが目的です。そのため、メディカルアフェアーズ部に属するMEチームは、当該疾患領域のトップのTL(Thought Leader)と折衝し、エビデンスに基づいた公平な資材を作成することも業務として行います。 一昔前はMEは「イベント屋」的な見られ方をされていたこともあったようですが、それは間違った解釈です。MEは教育ニーズを探り、そのニーズに答えていくための非常に意義のある専門業務であると思っています。 下記の論文ⅰ)に国内外のメディカルエデュケーションの活動について詳しく書かれていました。ぜひ参考にされてください。 -
コラム
メディカルアフェアーズ部に所属して仕事をするには?
コラム2022.10.03 (Mon)2022.10.03 (Mon)メディカルアフェアーズ部に所属して仕事をするには?
MAでは様々な業務が行われており、それぞれの業務に高い専門性を必要としています。特にMSL(メディカルサイエンスリエゾン)においては、社外医科学専門家(STL)との医学的・科学的な議論や学会活動等を通じて、UMN(アンメットメディカルニーズ)の解決に寄与、さらに高い倫理観が望まれます。こういった背景から日本製薬医学会では、MSLの資格要件として医学・薬学関連の大学教育を受けた者と提言していましたⅰ)。さらに2022年に日本製薬工業協会(製薬協)は、「MSLの目指すべき方向性」を発表し、その中でMSLの任命要件として、医療資格の保有(医師、歯科医師、薬剤師、看護師など)や、生命科学系の博士号の保有を推奨するとしましたⅱ)。これは、MSLが社外医科学専門家から真に信頼されるパートナーとして医学的・科学的な交流を行うにあたり、研究業績を挙げた経験を持つ科学者として博士であることがより望ましいと考えたと説明されています。 こういったハード面での要件の他に、高度な専門知識、 科学的中立思考、高い倫理観、科学的議論ができるコミュニケーションスキル、ビジネスに対する洞察力、自己研鑽への意欲などのソフトスキルも必要となってきます。