メディカルアフェアーズ情報
メディカルアフェアーズの最新情報を更新していきます。
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コラム
MA/MSLの教育体系の現状
コラム2023.01.25 (Wed)2023.01.25 (Wed)MA/MSLの教育体系の現状
製薬業界に携わる前、複数の業界と関わった中での経験ではありますが、製薬業界におけるMA/MSL部門の教育体系は、目指す姿が共通認識され、まさにこれから企画・整備に向かっている段階ではないかと受け止めています。これまで接点を持った製薬企業数社では、専門的な知識やスキルに関する研修を取り入れたいとのお話しをいただき、いち早く、MA/MSLの機能を確立したいとの想いが強く伝わりました。 そのような中で、専門的な知識のインプットやスキル習得と共に、気づきや感性を体験から養うソフトスキルの教育プログラムを取り入れようとのお声がけは現時点でまだ少なく、これから徐々にお聞きするのではないかと推察しています。 例えば、自分や相手について考え方や感情面まで深く理解できるような「コミュニケーション」を体験的に学ぶ教育プログラム。自らの価値観とスキルに強い確信が持て、どのような志を大事にするかの「自発性」マインドを育てる教育プログラム。そして、プロジェクト管理のためのマネジメントだけでなく、状況に応じて人間同士が力を合わせると大きな成果を狙えるグループダイナミズムも体感できる「リーダーシップやマネジメント」のプログラムなど。一言で言えば継続的に人間力を育てるプログラムを取り入れたいとのお話はまだ少ない傾向にあります。 大前提となるビジョンや戦略、事業計画、そして現実的に起きている問題から切り離さずに教育プログラムは計画立案する事が望まれます。そのため、やはり専門的な知識やスキルの習得は優先せねばならないかもしれません。しかしながら、周知の通り、我々が生きているビジネスの世界はなかなか計画通りには進まず、常に軌道修正しなければ成功が難しくなっています。だからこそ、相手や状況に対する鋭い感受性や、速やかな意思決定ができる揺るがぬ価値基準、目標達成のために共感して巻き込む力、新しさを具現化する力など、ソフトスキルもきっと必要になることでしょう。 教育を通して目に見える効果を求める一方で、組織・部門が永続するために人間形成の部分も企業内教育の範囲としてどれだけ捉えられるのか、私自身、専門性と人間性の教育の両面で皆さまのお役に立ちたいと考えています。 当社の教育・研修に関してご相談やご質問等ございましたら、いつでもお気軽にご相談くださいませ。 お問い合わせ -
コラム
Patient Centricityとは何なのか?
コラム2023.01.13 (Fri)2023.01.13 (Fri)Patient Centricityとは何なのか?
まず、製薬業界全体が、Patient Centricityを掲げるようになった背景について考察したいと思います。色々なところで言われることですが、近年、医薬品の開発パイプラインが変化していますⅰ)。かつては、生活習慣病のような、患者が多数存在する疾患に対して、新たな医薬品が次々と開発されていました。当時、一人一人の患者の声を聴くよりも、処方権を持つ医師から「感触」や「使い勝手」を聴取することが、重視されてきたことは否定できないでしょう。確かに、そちらの方が効率は良いでしょうし、実際に、それによって多大な利益を得てきました。しかし現在では、このようなやり方だけでは思うような利益を得られなくなった、というのはよく耳にするところです。 それと同時に、最近は、より希少な疾患に焦点を当てた医薬品開発が活発になっています。希少疾患の場合、患者数は少ないですが、その分、治療薬の薬価が高い傾向にあります。そのような環境では、患者一人のことを深く知ることが、今まで以上に価値をもつという側面があります。 患者と医師の関係性の変化も、影響を与えていると考えられます。近年、古典的なパターナリズムを目にする機会は減り、患者が自分の治療について意見を述べ、意思を決定していく場面が増えています(もちろん、十分できているとは言えないかもしれません)ⅱ)。そのような環境では、患者が疾患や治療に対して、適切に理解をすることが不可欠です。医療・科学の不確実性を伝えつつ、正確な医療情報を理解しやすい形で提供することが、より一層求められます。 -
コラム
そもそもメディカルアフェアーズって何だ?
コラム2022.10.03 (Mon)2022.10.03 (Mon)そもそもメディカルアフェアーズって何だ?
メディカルアフェアーズの目的や役割については、当該ホームページの「メディカルアフェアーズとは」に記載いたしましたので、ここではもう少し踏み込んだ話をしてみたいと思います。 製薬企業では、メディカルアフェアーズ部門はマーケティングや営業部などのコマーシャル部門とは切り離されているところがほとんどだと思います。そのため、マーケティング戦略とメディカルアフェアーズの戦略は別々に作られることも多いとは思いますが、実はメディカル戦略はマーケティング戦略の一部なのです。 一般の消費財やサービスを提供している企業からすれば、これらを切り離して戦略が立案されていることに違和感を持つかもしれません。 では、なぜ製薬企業は二つの戦略を分けているのでしょうか? 製薬企業は生命関連性が非常に高い製品を研究開発・製造・販売しているため、製品を「売る」ということを第一の目的に掲げる部門と、実際にヒトを対象とした臨床研究を行う部門とは明確に分ける必要性があったのです。逆に申し上げますと、両者を分けていないと別ページで述べたような事件が起こってしまうかもしれません。 メディカル戦略は、顧客である医師や患者のアンメットメディカルニーズを捉え、その解決に向けて活動を行うことによって製品自体の価値を高めることを目的とした部門です。一方、マーケティング部門は、製品が市場に出て「売れるしくみ」を考える部門です。 ここで一つ誰もが疑問に思うことがあります。 企業は利益を得ることを目的としているにも関わらず、なぜ、製薬企業はメディカルアフェアーズ部門のような一見売上獲得とは関係なさそうな組織に多くのリソースをかけているのでしょうか? 両者は目的が異なるように見えますが、実はそれほど遠くないものと思います。マーケティング部門は短期的~長期的に製品を売るための戦略を立てます。営業部門は、立案されたマーケティング戦略に基づいて比較的短期的な視点で売上獲得に主眼をおきます。メディカルアフェアーズ部門は、製品の価値を高めるために顧客(医師や患者)のニーズを取得してその解決策に取り組みます。その解決策のほとんどは臨床研究によって行われます。これら臨床研究によって得られた結果は論文などで公表されますが、その結果を日本あるいは世界中に発信します。その発信の役割を担うのがマーケティング部門や営業部門ということになります。 つまり、コマーシャル部門とメディカル部門は直接の役割は異なりますが互いに連携しているのです。互いの戦略は別々に立案されますが、メディカルアフェアーズで立案された戦略は実はマーケティング部としっかりとコンセンサスを得て進められています。 このように、メディカルアフェアーズ部門は、顧客のニーズを把握して臨床研究を行うという一連の流れを担うため、短期的にすぐに結果を出せる部門ではありません。したがって、戦略的には中長期的な売上獲得を目的とした部門であると解釈することもできるでしょう。 以前、多くの製薬企業がメディカルアフェアーズ部門を立ち上げた頃は、コマーシャル部門とメディカルアフェアーズ部門の仲があまりよくないということをよく耳にしました。その理由は、互いに見ている視点(ターゲットとしている期間)が異なるために、互いの意見がかみ合わないようなことがあったからなのだと思います。 製品価値を高める活動が、なぜ企業に必要なのかの理由については、CSV(Creating Shared Value)のコラムで詳しく書きたいと思います。