メディカルアフェアーズ情報
メディカルアフェアーズの最新情報を更新していきます。
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コラム
ターゲットにすべき社外医科学専門家とは?
コラム2024.09.04 (Wed)2024.09.04 (Wed)ターゲットにすべき社外医科学専門家とは?
STL選定業務をご相談いただいた際、最初のお打ち合わせの中で必ずお伺いしていることがあります。 「どのような先生をターゲットにしたいか、イメージはありますか?」 当社のSTL選定業務サービスにおいて、最も重要視しているのは「選定条件確定までのお打ち合わせ」です。選定条件さえ決まれば、あとは誰がやっても同じものが出来上がります。なので、上記の質問をお伺いする際には、対象の疾患やその治療戦略に対し卓越した見識と影響力がある先生というところはベースに置きつつ、さらに踏み込んで、「その中でも、貴社のMA戦略プランや活動の方向性を考えたときに、関わるべき先生・必要な先生はどういう方か?」というところまで、聞き出すようにしています。そして、ここで出していただいた考えやご要望を軸に、必要な調査項目は何かを考え、それぞれの調査における選定条件を決めていきます。 例えば、「○○疾患に関連するSTLリストを作成し、その中から、MSLによる面談活動のターゲットを決めていきたい。」というざっくりとしたご要望だったとしても、MSLに何を求めるかによって選定方法は変わってきますので、しっかりとヒアリングさせていただきます。MSLに継続的に面談を重ねてもらうことを期待したり、MSLにディスカッションしてほしいテーマや情報収集してほしいトピックを設定したりするのであれば、経歴や研究活動から、MA戦略プランでフォーカスすることを決めたトピックや活動の方向性に関心がある(少なくともありそうな)先生を、リスト作成段階でしっかりと見定めておく方が効率的です。 -
コラム
Patient Journeyを描く際のTips
コラム2024.03.04 (Mon)2024.03.04 (Mon)Patient Journeyを描く際のTips
つい先日、私は、「Emotional journey of patients with specified intractable diseases in Japan」という論文を発表しました。2024年3月1日現在は、速報でインフォーメーションされています。(リンク) この論文は、難病の患者さんを対象に確定診断遅延に関わるアンメットニーズを探るために、患者さんのEmotion(感情)の状態を明らかにし、かつ、それを定量的に示したものです。感情の状態が最も低くなるところにこそ患者さんのアンメットニーズが存在している可能性が高いことを私は常に提唱してきましたが、この研究はその一つの例となります。 また、当該研究は、限られた数の患者さんへのインタビューではなく、比較的多くの患者さんを対象としたアンケート調査によって、「感情の状態」を捉えた研究です。 -
コラム
内勤のメディカルアフェアーズの役割
コラム2023.05.12 (Fri)2023.05.12 (Fri)内勤のメディカルアフェアーズの役割
製薬企業によってMAの形態は様々あり、組織名や役割の区分が異なりますが、主に内勤のMAは、MAプラン構築・管理業務、研究者主導型研究の管理やMAが主導あるいは共同研究となる市販後臨床研究等の遂行・管理の実施などを担う業務、HCPや患者さんあるいはMR等からの問い合わせに対して医学的・科学的観点での回答を行う業務、MA内の人材育成や活動の評価分析を行う業務があり、この他にもMA資材の作成や製薬企業として外部に発信する各種販売促進資材のサイエンティフィックレビュー業務など、多様な業務があります。これらが業務ごとに組織化され、遂行されている企業もあれば、外勤となるMSLやメディカルエデュケーション(MedEd)活動も含め、複数の業務を個人で担当する組織体制になっている企業もあります。これは、それぞれの企業の状況によって異なり、分業を進めることに対するメリット・デメリットを考えながら体制構築を進めていく必要があります。これら各業務の詳細や、担当者に求められる資質については、別の機会のコラムで触れていきたいと思います。 -
コラム
MSL(メディカルサイエンスリエゾン)の役割とその活動の重要性とは
コラム2022.10.03 (Mon)2022.10.03 (Mon)MSL(メディカルサイエンスリエゾン)の役割とその活動の重要性とは
今回は、MSLの役割について書きたいと思います。 私たちは、MAアカデミーというメディカルアフェアーズに特化した教育プログラムを提供しております。そのプログラムの第一回のメディカルアフェアーズ(MA)概論の講義において、「MSLはMA部の中で具体的にどのような役割をしているのか?」という質問を受けることがあります。 その回答としては、大きく分けて下記の3つになります。 MA戦略プランの立案においてはThought Leader(TL)のファクト・インサイトが必要となる。そのファクト・インサイトを収集し、戦略立案チームに情報をフィードバックする MA戦略プランで決定されたアクティビティを実施する 当該疾患領域における医科学的情報を収集する メディカル戦略プランとは、MA部門が活動するためのいわば計画書であり、MAはこの戦略にしたがって活動しています。メディカル戦略プランは自社が同定したアンメットメディカルニーズ(UMN)の解決策が書かれ、具体的にどのような活動が実施されるのかが記載されています。「いつ、何を、どこで、だれが」ということが細かく記載されます。UMNは、顧客(医師及び患者)からのファクトやインサイト情報をもとに同定されます。これらファクトやインサイトをMSLが現場から収集するのです。 「では、MSLの業務は誰でもできそうですね?」ということを言う人がいますが、そんなに簡単ではありません。ファクトは事実に基づく情報ですので誰もが入手できる情報かもしれませんが、インサイトについては簡単にはいきません。インサイトとは人がなんとなく感じていることだけれどもうまく言葉にできないことを指します。下の図に示したように実は本音よりもさらに深い部分に存在するのです。このインサイトを収集するためには一筋縄ではいきません。MSLは当該疾患領域のオーソリティであるTLと直接話をしながらインサイトを収集しますが「話をしながら・・・」とは何も世間話ではありません。TLと疾患や様々なエビデンスの話題を中心に話をします。その中でインサイトを収集することになります。したがって、MSLは医科学的な知識や考え方を持っているだけでなく、非常に高いコミュニケーションスキル、人間関係構築力が必要とされるのです。 少し話を前に戻しますが、MA戦略プランはMSLが入手したファクトやインサイトをもとに立案されるわけですので、MA戦略プランの質は戦略担当者はもちろんですが、MSLが持ってきた情報に大きく左右されます。別の見方をすれば、MA戦略プランはMA部の活動の計画書でありながら、その戦略はMSL自身が決めているとも解釈できるのです。 このようにMSLがいかに重要な任務を担っているかがお分かりいただけたのではないかと思います。これからMSLを目指そうとされている方の参考になればと思います。 -
コラム
メディカルエデュケーションって何?
コラム2022.10.03 (Mon)2022.10.03 (Mon)メディカルエデュケーションって何?
国内外の製薬企業の中には、メディカルアフェアーズ部の中にメディカルエデュケーション(ME)というチームを設けている企業があります。私の記憶では国内では外資系製薬企業2社に存在していたと思います(2022年10月現在)。 もともと欧米では、医療従事者の継続教育のために、製薬企業がその一部分を支援することが大きな役割の一つであったと思われます。実際、私は海外で製薬企業のメディカルエデュケーションの活動を見たことがあるのですが、非常に幅広い活動をしていました。具体的には、現場で教育のニーズを探り、そのニーズに対して製薬企業としての強みが活かせるのであれば実際にマテリアルの作成から教育プログラムの企画・運営までしていました。また、教育プログラムの参加者に対してはNPS(Net Promoter Score)を含めた緻密なアンケートを取り、常にレベルの高い教育ができるように改善を重ね、活動の質の向上に努めていました。そのほか、学会のブースの設置や対応、デジタルコンテンツの作成なども行っていました。もちろん、コンテンツについては常に公平性を担保(エビデンスをもとに資料を作成する。意図的に自社製品の宣伝になるようなストーリーにしない。)していたと思います。 国内における製薬企業のMEについてはどうでしょうか。いわゆる内資系製薬企業にはこのような部門はまだ存在していないのではないかと思います。外資系企業においてはME部を設置し活動している企業があります。具体的には、メディカルマテリアルの作成、学会のブース企画・運営、アドバイザリーボードミーティングの企画、学会シンポジウムの企画などが主な業務となります。 MEを国内導入したころは、「私たちの業務は医師への教育です」という言葉を医師に対して使い、医師からは「製薬会社が私に何を教育してくれるんだい?」と叱られてしまうようなことがたびたびあったようです。そのほか、「活動の公平性を担保することに企業としてどのような意味があるのか?」などコマーシャル部門からはなかなか理解が得られにくいということもありました。このように、日本国内では海外のME部門の活動のようにスムーズに受け入れ難い環境でしたが、最近ではかなりその活動の意義が浸透してきたのではないかなと思います。 では、MEはメディカル戦略プランとは関係なく活動するのでしょうか?その答えは「No」です。製薬企業が新たに製品を市場に出す際には、実際のところ、医療従事者に対して様々な情報を提供しなくてはなりません。その情報とは主に製品情報です。メディカルアフェアーズにおいては、製品そのものの情報というよりはその疾患領域の情報がメインとなります。その疾患について医療従事者に正しく理解をしてもらうことが目的です。そのため、メディカルアフェアーズ部に属するMEチームは、当該疾患領域のトップのTL(Thought Leader)と折衝し、エビデンスに基づいた公平な資材を作成することも業務として行います。 一昔前はMEは「イベント屋」的な見られ方をされていたこともあったようですが、それは間違った解釈です。MEは教育ニーズを探り、そのニーズに答えていくための非常に意義のある専門業務であると思っています。 下記の論文ⅰ)に国内外のメディカルエデュケーションの活動について詳しく書かれていました。ぜひ参考にされてください。 -
コラム
そもそもメディカルアフェアーズって何だ?
コラム2022.10.03 (Mon)2022.10.03 (Mon)そもそもメディカルアフェアーズって何だ?
メディカルアフェアーズの目的や役割については、当該ホームページの「メディカルアフェアーズとは」に記載いたしましたので、ここではもう少し踏み込んだ話をしてみたいと思います。 製薬企業では、メディカルアフェアーズ部門はマーケティングや営業部などのコマーシャル部門とは切り離されているところがほとんどだと思います。そのため、マーケティング戦略とメディカルアフェアーズの戦略は別々に作られることも多いとは思いますが、実はメディカル戦略はマーケティング戦略の一部なのです。 一般の消費財やサービスを提供している企業からすれば、これらを切り離して戦略が立案されていることに違和感を持つかもしれません。 では、なぜ製薬企業は二つの戦略を分けているのでしょうか? 製薬企業は生命関連性が非常に高い製品を研究開発・製造・販売しているため、製品を「売る」ということを第一の目的に掲げる部門と、実際にヒトを対象とした臨床研究を行う部門とは明確に分ける必要性があったのです。逆に申し上げますと、両者を分けていないと別ページで述べたような事件が起こってしまうかもしれません。 メディカル戦略は、顧客である医師や患者のアンメットメディカルニーズを捉え、その解決に向けて活動を行うことによって製品自体の価値を高めることを目的とした部門です。一方、マーケティング部門は、製品が市場に出て「売れるしくみ」を考える部門です。 ここで一つ誰もが疑問に思うことがあります。 企業は利益を得ることを目的としているにも関わらず、なぜ、製薬企業はメディカルアフェアーズ部門のような一見売上獲得とは関係なさそうな組織に多くのリソースをかけているのでしょうか? 両者は目的が異なるように見えますが、実はそれほど遠くないものと思います。マーケティング部門は短期的~長期的に製品を売るための戦略を立てます。営業部門は、立案されたマーケティング戦略に基づいて比較的短期的な視点で売上獲得に主眼をおきます。メディカルアフェアーズ部門は、製品の価値を高めるために顧客(医師や患者)のニーズを取得してその解決策に取り組みます。その解決策のほとんどは臨床研究によって行われます。これら臨床研究によって得られた結果は論文などで公表されますが、その結果を日本あるいは世界中に発信します。その発信の役割を担うのがマーケティング部門や営業部門ということになります。 つまり、コマーシャル部門とメディカル部門は直接の役割は異なりますが互いに連携しているのです。互いの戦略は別々に立案されますが、メディカルアフェアーズで立案された戦略は実はマーケティング部としっかりとコンセンサスを得て進められています。 このように、メディカルアフェアーズ部門は、顧客のニーズを把握して臨床研究を行うという一連の流れを担うため、短期的にすぐに結果を出せる部門ではありません。したがって、戦略的には中長期的な売上獲得を目的とした部門であると解釈することもできるでしょう。 以前、多くの製薬企業がメディカルアフェアーズ部門を立ち上げた頃は、コマーシャル部門とメディカルアフェアーズ部門の仲があまりよくないということをよく耳にしました。その理由は、互いに見ている視点(ターゲットとしている期間)が異なるために、互いの意見がかみ合わないようなことがあったからなのだと思います。 製品価値を高める活動が、なぜ企業に必要なのかの理由については、CSV(Creating Shared Value)のコラムで詳しく書きたいと思います。