2022.10.03 (Mon)

MSLのコミュニケーションスキルとは

私たちは、製薬企業のMSLを対象にした面談研修を提供しています。その蓄積されたデータから、いくつか見えてきたものがありますので、ここで一部を述べたいと思います。

 

そもそも論で恐縮ですが、スキル云々の前に、「MSLは何のために医師と面談するのか?」という目的意識が最重要であると感じます。MSLは、営業とは異なり、「自社製品を処方してもらうこと」が目指すところではありません。メディカルアフェアーズの一員として「アンメットメディカルニーズの充足」を目指しており、そのために医師に情報提供したり、意見交換をしたりしているわけです。効果的なコミュニケーションのためには、まず、MSL自身が「アンメットメディカルニーズ」について深く思考しているかどうかが問われるでしょう。

 

少しスキルの話をすると、「ギブアンドテイクを意識する」ことが重要でしょう。これは、もちろん金銭的な話でも労務的な話でもありません。単にインタビューのように一方的に聴取しても、医師からすれば真剣に答えなければならない義務はないですので、当たり障りのない返答で済まされてしまう恐れがあります。このような面談が続くと、医師からすれば得られるものが無いので、MSLとの面談に躊躇するかもしれません。MSLの上級者は、「情報を与えながら、引き出している」と感じます。すなわち、医師が興味を持つように情報を提供し、その反応をみながら、話を深堀りして、医師の考えを収集しています。

 

態度に関しては、「丁寧すぎない」ことが重要かと思います。相手への敬意を表すことに一生懸命で、議論が展開していかないようであれば、ちゃんと議論したい医師にとっては不満が募るでしょう。専門家として、医師を知的に刺激する存在である必要があります。

ライター

越田 隆介
シミック・イニジオ株式会社 メディカルアフェアーズカンパニー メディカルソリューション部 マネージャー
越田 隆介
医師、医学博士。専門領域は糖尿病。大学教員を経て、当社に入社。製薬企業のメディカル部門でMSLおよびパブリケーション業務を経験。現在、患者と協働しながら、営利企業による”Patient-Centricity”を実践している。そのほか、医師との科学的議論に関する方法論や、臨床研究関連法規に関する解説など、製薬企業社員向けに研修コンテンツを提供している。
医師、医学博士。専門領域は糖尿病。大学教員を経て、当社に入社。製薬企業のメディカル部門でMSLおよびパブリケーション業務を経験。現在、患者と協働しながら、営利企業による”Patient-Centricity”を実践している。そのほか、医師との科学的議論に関する方法論や、臨床研究関連法規に関する解説など、製薬企業社員向けに研修コンテンツを提供している。