メディカルアフェアーズ情報
メディカルアフェアーズの最新情報を更新していきます。
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【開催報告】「MSL Manager Workshop~次世代のMSLの役割と可能性を探る~」
コラム2025.07.17 (Thu)2025.07.17 (Thu)【開催報告】「MSL Manager Workshop~次世代のMSLの役割と可能性を探る~」
MSLは責任感と使命感を持ち、科学的中立性を軸に医療の最前線を支えています。一方で、社内外からの期待と現場の実際の業務との狭間で、課題解決の方法やキャリアビジョンなどの悩みもよく聞かれます。今回のワークショップでは、「MSL活動における課題は?」、「次世代のMSL像は?」などのテーマでMSLマネージャーの方々とともに議論を行いました。 当日は、参加者の皆さんに事前回答いただいたアンケート結果に加え、当社が各社へのコンサルティングを通じて認識した実情や独自調査の結果なども紹介し、現状や課題を整理したうえで議論がスタートしました。 業界に激しい変化が巻き起こり、同じ“MSL”でも会社の規模や方針・疾患領域・担当薬剤のライフサイクルによって求められることが大きく異なる中で、そうした違いを超えて、様々な課題にどのように取り組むのか、今後のチャレンジは何かについて活発な議論が行われました。(議論の詳細については、別途ご報告予定です。) - コラム
STLエンゲージメントプラン ~メディカル戦略プランとの連動をいかに実現するか~
コラム2025.05.13 (Tue)2025.05.13 (Tue)STLエンゲージメントプラン ~メディカル戦略プランとの連動をいかに実現するか~
多くのMA部門では、メディカル戦略プランにSTLエンゲージメントを含めています。STLとの直接的な接点を持ち、エンゲージメント推進における重要な役割を担うのがMSL(Medical Science Liaison)です。そのため、個々のSTLに対するエンゲージメントプラン作成を担当するのはMSLであることが一般的です。しかし、MSL Societyが2024年に実施した調査によれば、『57%のMSLはメディカル戦略を完全には理解できていない』という課題が浮き彫りになっています。また弊社も、製薬企業のMA担当者から、「オフィスとフィールドがなかなか一枚岩になり切れない」、「戦略は立てたものの効果的なMA活動に至っていない」、というようなご相談をよくいただきます。 では、これらの課題を解消するために、できることは何でしょうか? 1. 戦略の背景と目的の共有 ひとつには、メディカル戦略プランで掲げたオブジェクティブやアクティビティの背景を明確にし、そこに込められた戦略的ビジョン、さらには期待される成果について、しっかりと共有することが重要です。メディカル戦略プランは、決して一日二日で作成されたものではありませんので、それをチーム会議の一コマで共有・説明したくらいでは、初見の人にはほぼ伝わっていない可能性があります。また、組織の立て付けや忙しさなど様々な要因から、オフィスメンバーとMSLとの直接的な連携には限りがあります。結果として、メディカル戦略プランの意図がフィールド業務に十分に伝っていないという課題が生じる可能性があります。 2. 実践的な情報とスケジュールの提供 もう一つは、メディカル戦略プランの方向性だけではなく、MSLが必要とする情報について、スケジュールも含めて共有することが重要です。MSLがメディカル戦略を理解する際に、すでに頭に浮かべているのは、「どのタイミングでそのpublicationがMSL資材として活用できるようになるのか?」や、「自分の担当STLが役割者(またはその候補)になるアクティビティは何か?それはいつ決まるのか?」といった、より具体的な内容です。したがって、上層部向けに作成したメディカル戦略プランに、STLエンゲージメントの視点でMSLが必要とする情報・スケジュールを加えたものを用意すると、フィールド活動との連携強化につながります。 - コラム
MSL活動における面談準備の重要性
コラム2024.12.20 (Fri)2024.12.20 (Fri)MSL活動における面談準備の重要性
STL面談の準備は大きく①面談方法に関わること、②面談内容に関わること、③STLに関することの3つに分けることができます。①はSTL面談の計画とアポイントの取得に関わることが該当し、STLへの連絡方法や日程調整、面談形式の確認などが含まれます。また、社内ステークホルダーへの予定の共有も重要でしょう。私は面談準備で最も重要なのが②であると考えています。どのようなことを議論したいのか、そのための情報提供や資料作成などを面談の流れを考えながら準備を進めていきます。過去の面談内容からSTLの性格や興味を考え、それに合った議論内容になっているかも確認する必要があります。②を行うにあたり③のSTLに関することを調べることも大切です。学会活動や研究テーマを知ることを通じてSTLの考えを想像することで②の準備にも役立ちますし、面談中にその情報に触れることができれば関係構築にも役立つでしょう。特に初回面会時には時間をかけてしっかり準備したいポイントです。面談を適切に実行し、適切な情報提供と深い科学的議論をするためにこのような準備が必要です。 - コラム
MA活動におけるSTLエンゲージメントの意義
コラム2024.10.17 (Thu)2024.10.17 (Thu)MA活動におけるSTLエンゲージメントの意義
「顧客エンゲージメント」は、種々の専門家によって多くの表現で定義されていますが、いずれにせよ「顧客との関係構築」が重要な要素となります。MAにおける「STLエンゲージメント」においては、STLと①健全かつ良好な関係を構築すること、②最新の医学的・科学的な情報を交換すること、③課題の理解およびその解決に向けて協働すること、これらが重要な要素として含まれるでしょう。 MA活動は、メディカルプランに基づきますが、そこにはMAとして解決したい課題、達成したい目標があり、その解決・達成のための筋道が描かれます。具体的には、臨床的に価値のあるデータを創出する、疾患に関する情報を発信する、といった施策がとられます。そして、どの施策においても、重要な外部ステークホルダーたるSTLとの関係構築が必須となります。 - コラム
フィールドメディカルアドバイザーとは
コラム2023.11.08 (Wed)2023.11.08 (Wed)フィールドメディカルアドバイザーとは
メディカルアフェアーズが行う活動の認知度が上がり、その重要性が注目される中で、MSLが行う「フィールドメディカル活動」の質や効率についての意識も強くなっています。メディカルプランの中で、MSLがどのようなアクティビティに関与し、そのアクティビティやメディカルプランそのものに影響を与えるようなインサイトをどのように収集するかは、多くの製薬企業が抱えている課題の一つと言えるかと思います。 特にメディカルアフェアーズを立ち上げて日が浅い企業や、未経験MSLを積極的に登用していたりフィールド活動を専門的に行うMSLを置いていない企業においては、その課題はより大きなものとなります。実際、私たちにもそのような課題をどのように解決すべきかという相談を受けることがしばしばあります。 - コラム
MSLにおける面談の「型」について
コラム2023.08.22 (Tue)2023.08.22 (Tue)MSLにおける面談の「型」について
当社は、「MSLと医師の科学的な意見交換の方法」についてトレーニングを提供しています。特にそのニーズが高いのは、新設されたばかりのMSLチームです。製薬業界では、自社医薬品のライフサイクルに合わせて、メディカルアフェアーズおよびMSLチームの新設・組替えがダイナミックに行われます。昨今は、営業部門の縮小と並行して、営業部門からのMSLの供給が増えるという現象も生じています。そのような中、MSLマネージャーは、急場でチームを作ることが迫られます。現状、MR出身のMSLが割合として最も多いと思われますが、他に開発(CRA含む)や研究職(アカデミア含む)も加わって、MSLチームが構成されることになります。チームを早く機能させるために、多様なキャリアを持つメンバーのマインドセットや目線を合わせることが急務となります。そのような中、自社でMSLに特化した研修を実施するリソースや経験が少ない場合や、外部の視点が必要な場合に、当社に依頼が来ることになります。 - コラム
MSLの職種としての将来性
コラム2023.03.17 (Fri)2023.03.17 (Fri)MSLの職種としての将来性
国内では2010年ごろから、製薬企業のメディカルアフェアーズ部の中にMSLが本格的に組織されはじめ、当社の試算では2023年3月現在までに約2300人のMSLが国内で活動していると思われます。 日本製薬工業協会においても、2019年4月1日付で「メディカルアフェアーズの活動に関する基本的考え方」が、2022年7月には「メディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)の目指すべき方向性」がリリースされました。 このようにMSLの業務は業界でもかなり注目されてきており、今後も人数や役割が拡大していくようにもみえます。 一方で、製薬企業がカバーする疾患領域は、プライマリーケアからスペシャリティケアに移行してきており、多くの医療従事者を対象とするのではなく、少数の専門医が対象となってくるでしょう。MSLについては、さらに、その中でもThought Leaderが対象となってくるのでMSLの絶対数は今後も大きく増えていくようなことはないと考えています。 今回はコラムですので、あくまでも個人的な考えとなりますが、下記のような傾向になってくると思っています。 MSLの絶対数はそれほど増えていかない MSLの役割は拡大していく MSLの質が大きく問われるようになっていく この中でも特に3.が重要なのではないかと思います。 当社では多くのメディカルアフェアーズ部に対するコンサルティングを行ってきましたので、その経験から申し上げますと、MSLの方が持っている資格や経験に対するrequirementは今後も益々高まってくると思われます。つまり、医療系資格(医師、薬剤師、看護師の有資格者)を持ち、大学院(修士以上、博士号を持っていればなお良い)修了者、さらには、製薬企業でのメディカルアフェアーズや関連部門での経験、ある領域での専門性や経験、コミュニケーション力、ビジネス的な洞察力、英語力(特にビジネス英語)が備わっている人が理想となります。 メディカルアフェアーズが組織され始めた際には、博士号を持っていることが重要とのことでしたが、現在では、それだけでは不足しており、ビジネスマンとしての質の高さやバランス感覚が求められているといっても良いでしょう。したがって、現在の自分に満足することなく、常に前向きに勉強をしていく姿勢が重要です。その勉強も会社から提供される研修だけではなく、自ら各種学校やセミナーへ足を運んだり、大学院などで勉強をしていくことが必要でしょう。 また、個人的にかなり気がかりなのは、疾患の専門性ですね。これに関しては、いくつも専門性を持つことは実際には不可能ですので、せいぜい一つか二つになるかと思います。その専門性が所属する製薬企業で永続的に必要とはされることはまずないでしょう。製薬企業の持つパイプラインで自分の得意とする領域の製品がなければ、転職という道を選ばなくてはならないこともあるかと思います。そのため、「安定」を強く望む方には厳しい世界になるかもしれません。一方で、常に勉強をし続け、サバイバルで生き抜くことへのやりがいを感じている方であればこんなに楽しいことはないかもしれませんね。 少し無責任な言い方に聞こえるかもしれませんが、私はこのメディカルアフェアーズという仕事は非常に魅力的だと思っています。Patient Centricityを前面に掲げながら、アンメットニーズの解決に挑む、大変素晴らしい仕事だと思います。 当社ではメディカルアフェアーズを体系的に学ぶことのできる「MAアカデミー」を運営しております。製薬企業で勤務されている方に限らず、異業種、大学生、大学院生など、もし、ご興味のある方はぜひとも当社にお問合せいただければと思います。 お問い合わせ - コラム
MA/MSLのソフトスキル教育はどのように企画すれば良いの?
コラム2023.02.09 (Thu)2023.02.09 (Thu)MA/MSLのソフトスキル教育はどのように企画すれば良いの?
製薬協 医薬品評価委員会MA部会「メディカル・サイエンス・リエゾン(MSL)の目指すべき方向性」ⅰ)によりますと、「ソフトスキル」とは「コミュニケーション力や協調性、自発性、リーダーシップなど、 目に見えない定性的なスキル」とされています。 私自身がヒアリングした製薬企業の中では、例えば「リーダーシップ」という教育の切り口だけでも、様々なニーズがありました。「MSLのリーダーシップとは、社会規範を遵守するだけでなく、自らの倫理観も明確にして行動できること」という企業もあれば、「MSLのリーダーシップとは、チームの中にいるメンバー一人ひとりが個性を発揮すること」という企業もありました。ソフトスキルの研修そのものに「正解がない」からこそ、各社で実情に照らして深く考え、どのように研修プログラムとして実現できるかについて試行錯誤している様子が垣間見えました。 そのような中で、以下の三つの点について留意しておくと、ソフトスキルの研修企画が一歩ずつ前進するのではないかと考えています。